
6月6日に北京で死去した、新儒家の霍韜晦さん(『百度百科』HPより)
6月6日、北京で霍韜晦さんが亡くなった。享年78。
霍さんの名前を聞いたことのある読者は、おそらく皆無に近いだろう。なぜ北京でという疑問はひとまず後回しにして、霍さんの思い出を綴っておきたい。
初対面は、私が香港の中文大学新亜研究所に留学した翌年の1971年の半ばではなかったか。霍さんが京都大学か大谷大学の留学から戻ってきた頃だと思う。廊下を挟んで斜め向かいの研究室に押しかけては、質問やらムダ話で時間を過ごしたものだが、もちろん霍さんが私の研究室の戸を叩くことはなかった。本来の研究を忘れ、京劇に現をぬかし芝居小屋に日参しているような日本人学生に、尋ねることなどあろうはずがなかったに違いない。

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