【インタビュー】中村勘三郎(歌舞伎俳優) ルーマニアで歌舞伎公演 そこにあった「錦絵の光景」

執筆者:安河内龍太 2008年9月号
タグ: ドイツ 日本
エリア: ヨーロッパ

 歌舞伎俳優の中村勘三郎さん(五三)がドイツのベルリンとルーマニアのシビウで公演を行なったのは、今年五月から六月にかけてのこと。きっかけは、現在歌舞伎座で上演中の『野田版愛陀姫』(ベルディのオペラ『アイーダ』の戦国時代版翻案)でも作・演出を務める劇作家・演出家の野田秀樹氏らの勧めだったという。「今のベルリンは、街も演劇もエネルギーがあって刺激的だよって。そういう場所の空気も吸いたかったし、いろいろなものを見たかった。もちろん、そこで歌舞伎もやってみたかった」 実際に行ってみると、ベルリン・フィルは地下鉄の構内で演奏をしているし、出演者が舞台上でオールヌードになってしまうような過激な演劇など、芸術的な“挑戦”がさまざまな形で行なわれていた。巨大テント小屋での歌舞伎公演や野田氏ら現代劇演出家とのコラボレーションなど、「伝統」の枠組みを飛び越え続けてきた勘三郎さんも、

カテゴリ: カルチャー
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