無謀なる鳥類学者は超優秀? それとも…

川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(新潮文庫)

執筆者:仲野徹 2018年8月19日
エリア: 日本
川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(新潮文庫)

 

 この本のタイトルを見たとき、心底驚いた。まともな研究者は、基本的に専門外の領域に口出ししない、という不文律がある。それが、大胆にも鳥類学者が恐竜を語るというのだ。

 こういうことをする輩(やから)は、とてつもなく優秀かアホかのどちらかと相場は決まっている。「世のなかには2種類の人間がいる。恐竜学者と鳥類学者だ」。冒頭にある意味不明な文章を読んだだけで、とりあえずアホの可能性が高そうである。

 タイトルには「無謀にも」と断ってあるから、それなりの謙虚さを漂わせているふうではある。しかし、「矛盾には気づかぬふりをし」、「包括的な大いなる愛をもって」、「ほころびに目をつぶり無批判に」、「協力的読法」で読んでほしいと懇願するとは何事だ。本を書く人は誰もがそう思っている。何を隠そう私もそうだ。しかし、こういうことは、恥ずかしいから書かへんのが普通やろ。

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執筆者プロフィール
仲野徹 大阪大学大学院医学系研究科教授。1957年大阪市生まれ。大阪大学医学部卒業。内科医を経てドイツに留学。帰国後は京都大学医学部講師、大阪大学微生物病研究所教授を経て現職。著書に『幹細胞とクローン』(羊土社)、『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(学研メディカル秀潤社)、『エピジェネティクス』(岩波新書)、こわいもの知らずの病理学講義』(晶文社)など。
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