仏「黄色いベスト運動」考(中)何者なのか

執筆者:国末憲人 2018年12月26日
エリア: ヨーロッパ
「黄色いベスト運動」年越し集会の呼び掛けも始まっている(facebook「 Mouvement Citoyen des Gilets Jaunes」ページより)

 

 フランスの「黄色いベスト」運動は、謎の多い現象である。メディアの取材に応じたコメントを探ると、その言説はあまりにばらばらで、立場や主義主張が一様でないことだけは見てとれる。

年輩者、低所得、会社員

 フランス人でさえつかみかねていた実像をうかがえる調査結果が多少なりとも浮かび上がったのは、12月半ばになってである。ボルドー政治学院やパリ第10大学、モンペリエ大学などの社会学者らが11月24日と12月1日、参加者へのアンケートを合同で実施し、その内容を暫定報告「黄色いベストとは何か」にまとめた。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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