世界初「月の裏着陸」中国が狙う「宇宙制覇」最前線(下)

執筆者:野口東秀 2019年1月9日
エリア: 北米 アジア
「嫦娥4号」を載せた「長征3号B」ロケットが発射されるところ(C)AFP=時事

 

 繰り返し強調しておくが、中国の歴代の政権は「宇宙強国」を目指してきた。

 2022年には自前の宇宙ステーション「天宮」を全面運用し、2028年から2030年には搭載重量が140トンにも及ぶ新型ロケット「長征9号」を打ち上げる予定だ。「長征9号」の開発には、有人月面着陸や火星の表土や岩石を地球に持ち帰るサンプルリターン計画、大型宇宙ステーションの建造が念頭にあるとされる。

 つまり、中国が目指しているのは、2030年代に米国と並ぶ「宇宙強国」の地位を確立することなのだ。

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執筆者プロフィール
野口東秀(のぐちとうしゅう) 中国問題を研究する一般社団法人「新外交フォーラム」代表理事。初の外国人留学生の卒業者として中国人民大学国際政治学部卒業。天安門事件で産経新聞臨時支局の助手兼通訳を務めた後、同社に入社。盛岡支局、社会部を経て外信部。その間、ワシントン出向。北京で総局復活後、中国総局特派員(2004~2010年)として北京に勤務。外信部デスクを経て2012年9月退社。2014年7月「新外交フォーラム」設立し、現職。専門は現代中国。安全保障分野での法案作成にも関与し、「国家安全保障土地規制法案」「集団的自衛権見解」「領域警備法案」「国家安全保障基本法案」「集団安全保障見解」「海上保安庁法改正案」を主導して作成。拓殖大学客員教授、国家基本問題研究所客員研究員なども務める。著書に『中国 真の権力エリート 軍、諜報、治安機関』(新潮社)など。
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