反骨のアーティスト「アイ・ウェイウェイ」が寄り添う「難民の悲劇」

映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』

『ヒューマン・フロー 大地漂流』より。1月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開  © 2017 Human Flow UG. All Rights Reserved.

 

 20世紀に入ってから消滅した国はたくさんある。また、国が崩壊した後に新しく誕生した国があるのも事実だ。世界は何度も地図を描き変えてきた。その歴史の変化の中で、いつも大量に発生しているのが「難民」である。

きれいな衣服とスマートフォン

 世界の難民問題を扱ったドキュメンタリー映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』(監督アイ・ウェイウェイ)の冒頭のシーンは美しい叙事詩のようだ。青い海原を映し出したスクリーンには、白い鳥が飛翔して行く。遠くに見える船影。そして空に詩が重なる。

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執筆者プロフィール
三潴末雄(みづますえお) みづま・すえお 1946年、東京生まれ。成城大学文芸部卒業。1980年代からギャラリー活動を開始。94年ミヅマアートギャラリーを東京・青山に開廊(現在は新宿区市谷田町)。これまでに会田誠、山口晃、天明屋尚、池田学など国際的に活躍する作家を多数輩出している。2008年、北京にMizuma & One Gallery(現在閉廊中)、2012年、シンガポールにMizuma Galleryを開廊。2018年秋にはニューヨークに「Mizuma, Kips&Wada Art」を開廊した。著書に『アートにとって価値とは何か』(幻冬舎)、『手の国の鬼才たち MIZUMA』(求龍堂)など。プロフィール写真撮影:野口博。
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