「農地流動化」が招く中国そのものの液状化

執筆者:鈴木孝昌 2008年12月号
タグ: 中国 日本
エリア: アジア

中国共産党は遂に「農地私有化」へ踏み出した。だが、それは、一党独裁体制の「終わりの始まり」にもなりかねない。[北京発]「社会主義体制の転覆だ!」「いったいだれがこのような売国・国政策を進めているのか」――。中国で伝統的な社会主義を守ろうという左派勢力のインターネットサイト「烏有之郷(ユートピア)」には、胡錦濤政権を正面から批判する過激な発言が続々と掲載されている。 中国共産党は十月に開いた第十七期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で、農村改革における「若干の重大な問題に関する決定」を採択。憲法で「集団所有」と定めている農地について、農民個人の利用権を大幅に拡大し、転売や譲渡を含む農地の流通をも認めた。農地は事実上、農民の「財産」となり、改革派や多くの農民たちが求めてきた「農地の私有化」に一歩を踏み出したとの見方も出ている。

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