80時間世界一周 (52)

ジャマイカを「商品化」したひとりの英国人起業家

執筆者:竹田いさみ 2008年12月号
タグ: イラン
エリア: 中南米 北米

 ジャマイカで地元ビール「レッド・ストライプ」を飲んでいた時のこと。「ジャマイカの商品化に成功した天才はクリスだ」――そんな会話を耳にした。クリスとは、英国人のクリス・ブラックウェル。ロンドン生まれでジャマイカ育ちのクリスは、現地のビジネス界で神様と崇められている伝説的な“仕掛け人”で、現在でも北部の海岸地帯オラカベッサを拠点にビジネスチャンスを窺う。 オラカベッサとは「黄金の頭」という意味で、目の前には「ジェームズ・ボンド海岸」と呼ばれる砂浜が一面に広がる。イアン・フレミング原作の007映画第一作「ドクター・ノオ」で、水着姿のボンドガールが登場するあの美しい砂浜だ。それに隣接して、フレミングがこよなく愛した別荘「ゴールデンアイ」が静かに佇む。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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