「郊外居住有権者」のトランプ大統領からの「離反」

執筆者:足立正彦 2020年8月11日
エリア: 北米
焦りのあまり「バイデン大統領」となった場合の具体的政策をあげて「とんでもないことになる」と脅す「恐怖戦略」まで使い始めたが……(C)EPA=時事
 

 1990年代半ば以降、米国内では都市の郊外に居住している有権者の割合が増加の一途を辿っており、郊外居住有権者は大統領選挙の帰趨を決する有権者層として益々重要な役割を担うようになってきている。

 2004年以降の過去4度の大統領選挙で、郊外居住有権者の過半数の支持を獲得せずに勝利することができたのは、2012年大統領選挙でミット・ロムニー共和党候補に勝利して再選を果たしたバラク・オバマ大統領(当時)のみである。逆の言い方をすれば、2004年のジョージ・W.ブッシュ大統領の再選も、2008年のオバマ氏の米国史上初のアフリカ系米国人としての勝利も、そして前回2016年のドナルド・トランプ共和党候補の勝利も、すべて郊外居住有権者の過半数を上回る支持を受けた結果、大統領選挙に勝利を収めているのである。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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