愛知県豊橋市のJR豊橋駅前から豊鉄に乗り、3つ目の駅が愛知大学前。運動部の学生の声が響くグラウンド、馬術部の馬場の前を過ぎると、松の巨木と出会う。根は大蛇のとぐろのように渦巻き、幹は二股に分かれ、背後の体育館の屋根をはるかに超えて枝を伸ばす。1927(昭和2)年、この地に開校した陸軍豊橋教導学校を行幸した昭和天皇の記念植樹の松と、遺構である旧大講堂だ。いまはベージュと茶に塗られた建物の入り口は、大きく武骨で頑丈そうな格子の扉を持ち、若者たちのキャンパスの風景にどこか異質な時代感をもってたたずむ。
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