裂けた明日
裂けた明日 (19)

連載小説:裂けた明日 第19回

執筆者:佐々木譲 2021年9月4日
タグ: 日本
エリア: その他
写真提供:AFP=時事
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

大宮の民泊で束の間の休息をとり、また移動を始めた信也と真智母娘。共同統治区域へ入る手立てと追っ手の存在が信也を悩ませる。

[承前]

 信也たちは、西武新宿線の東村山駅でいったん下りた。

 真智の仲間たちの手配を封鎖線の外で待つには、そのあとの移動もしやすいターミナル駅とか、それに準じる場所にいるべきだった。信也が考えているのは、JR中央線の吉祥寺駅だ。お昼前に吉祥寺に着いていれば、あとでどんな移動を指示されようと、対処はしやすい。たとえもう一度荒川の東に行くことになるにせよ、川崎方面への移動を指示されることになろうともだ。これが西武新宿線の上井草とか上石神井の駅にいたのでは、かなり不便になる。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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