
写真提供:時事
テント村から退去するよう告げられ、三人はすぐにでも落ち着く先を探す必要に迫られる。その矢先、ある光景が信也の目に飛び込んでくる。
[承前]
トラックの運転席からドライバーが降りて、荷台の後部のドアを開けた。マスク姿の作業員たちのうち、ふたりが荷台に乗った。フォークリフトが近づいてくる。信也はその袋の脇まで近寄った。寝袋でいえばちょうど胸がくるあたりに、荷札のようなものがつけられている。ひとの名前が書いてあった。
児玉正士と読めた。同じ作業現場のあの児玉だろうか。昨日、胸が苦しいと言っていた男。

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