ウクライナ危機は中国「エネルギー安全保障戦略」の何を変えるか

執筆者:小山 堅 2022年4月19日
エリア: アジア
中国にとってロシアはエネルギー調達多様化戦略の重要な相手(北京で開かれた石油パイプライン完成式典に臨むロシアのメドベージェフ大統領と中国の胡錦濤国家主席=2010年9月、肩書は当時) (C)AFP=時事 
世界最大のエネルギー消費国・中国にとってエネルギー安全保障確保は重要課題であり、とりわけ輸入依存度の高い石油とガスの安定供給確保が焦点だった。ウクライナ危機で国際エネルギー市場が不安定化する中、ロシア産のエネルギーの確保やエネルギービジネス参画に関連し、中国が自国のエネルギー安全保障強化のため戦略的に動いていく可能性が高い。

 ウクライナ危機が深刻化する中、国際エネルギー市場では、原油、天然ガス・液化天然ガス(LNG)、石炭などの価格が高騰し、市場不安定化が加速化している。その状況下、ロシア依存度が高い欧州を中心に、世界的にエネルギー安定供給確保とエネルギー安全保障重視の流れが急速に強まっている。

 現在、エネルギー安全保障政策の展開は特に欧州の動向が世界の注目を集めているが、翻って見ると世界最大のエネルギー消費国であり、最大の石油輸入国である中国にとってもエネルギー安全保障問題は極めて重要な課題である。そこで本稿では、中国のエネルギー安全保障問題を巡る現状と課題、そしてウクライナ危機を踏まえての中国のエネルギー安全保障戦略へのインプリケーションについて論じてみることとしたい。

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執筆者プロフィール
小山 堅(こやまけん) 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員。早稲田大学大学院経済学修士修了後、1986年日本エネルギー経済研究所入所、英ダンディ大学にて博士号取得。研究分野は国際石油・エネルギー情勢の分析、アジア・太平洋地域のエネルギー市場・政策動向の分析、エネルギー安全保障問題。政府のエネルギー関連審議会委員などを歴任。2013年から東京大公共政策大学院客員教授。2017年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授。主な著書に『中東とISの地政学 イスラーム、アメリカ、ロシアから読む21世紀』(共著、朝日新聞出版)、『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム新書)など。
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