岸田首相「東南アジア・欧州歴訪」テタテ会談の真価

執筆者:岩田明子 2022年5月14日
エリア: アジア ヨーロッパ
ベトナムのファン・ミン・チン首相と会談した岸田首相(C)EPA=時事
大型連休にインドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、バチカン、イギリスを歴訪した岸田首相。対ロ姿勢に温度差のある東南アジア各国といかに足並みそろえるのか、岸田外交の真価が問われる。 

 

インドネシアに配慮したアプローチ 

「ロシアに対していま、国際社会が毅然と対応しなければ、中国に誤った教訓を与えてしまうことになります」 

  岸田文雄首相は、大型連休初日の4月29日に訪問したインドネシアで、ジョコ・ウィドド大統領との首脳会談後、通訳のみを交えた2人だけの「テタテ(tete-a-tete)」会談に臨み、こう迫った。 

 岸田首相は、「日本はこれまでロシアと領土交渉を進めてきたが、今回、大きな決断を下した」と説明し、「ロシアは今後、おそらくASEAN諸国との関係に活路を求めてくると思う。その時、東南アジアが制裁の抜け穴になってはならない。G20やEAS(東南アジア首脳会議)でのロシアの扱いは国際社会が注目しているだけに、真剣な検討をお願いしたい」と求めた。 

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
岩田明子(いわたあきこ) 元NHK政治部記者・解説主幹。東京大学法学部卒。1996年NHK入局後、岡山放送局に配属。2000年から報道局政治部で、政治・外交を担当。2013年より解説委員兼務。2019年より解説主幹兼務。ニュースシブ五時、BS国際報道、時論公論、クエスチョンタイムなどで日本外交を解説。2022年度からは情報ライブゆう5時で解説。
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