自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第2部)――プーチンの失敗が中国と北朝鮮に与えた現実認識

執筆者:岩田清文
執筆者:武居智久
執筆者:尾上定正
執筆者:兼原信克
会談するロシアのラブロフ外相と中国の王毅外相(2021年3月) ©AFP=時事
今回の戦争から教訓を得ようとしているのは西側諸国だけではない。中国と北朝鮮は、ウクライナ国民の善戦とプーチンの苦境をどのように見ているのだろうか。(こちらの第1部/下から続きます)

中国経済はロシア経済の10倍

岩田清文(元陸上幕僚長):次に、中国や北朝鮮が、今回のウクライナ戦争をどう評価して、どのような新たな現実認識を得ているかという問題について。もちろん推測にはなりますが、考えていきたいと思います。武居さんからお願いします。

武居智久(元海上幕僚長):まず、中国・北朝鮮ともに、戦略核兵器を持てば、非戦略核兵器による恫喝で対象国の行動を抑止できる、あるいは特定の行動を強要できると考えた可能性がある。ですから、岩田さんが仰ったように、中国は戦略核兵器の増強を急ぐでしょう。北朝鮮も、兵力差があっても戦い方次第では負けない可能性があると、勝手に思ったかもしれない。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
岩田清文(いわたきよふみ) 元陸上幕僚長。1957年、徳島県生まれ。79年、陸上自衛隊に入隊(防大23期)。第7師団長、統合幕僚副長、北部方面総監などを経て、2013年、第34代陸上幕僚長に就任。16年に退官。著書に『中国、日本侵攻のリアル』( 飛鳥新社)、『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』 (新潮新書)、『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(新潮新書)、『中国を封じ込めよ!』(飛鳥新社)、『君たち、中国に勝てるのか 自衛隊最高幹部が語る日米同盟VS.中国』(産経セレクト)。
執筆者プロフィール
武居智久(たけいともひさ) 1957年生まれ。元海将、海上幕僚長。防衛大学校(電気工学)を卒業後、1979年に海上自衛隊入隊。筑波大学大学院地域研究研究科修了(地域研究学修士)、米国海軍大学指揮課程卒。海上幕僚監部防衛部長、大湊地方総監、海上幕僚副長、横須賀地方総監を経て、2014年に第32代海上幕僚長に就任。2016年に退官。2017年、米国海軍大学教授兼米国海軍作戦部長特別インターナショナルフェロー。2022年5月現在、三波工業株式会社特別顧問。
執筆者プロフィール
尾上定正(おうえさだまさ) 1959年生まれ。元空将。防衛大学校(管理学)を卒業後、1982年に航空自衛隊入隊。ハーバード大学ケネディ行政大学院修士。米国国防総合大学・国家戦略修士。統合幕僚監部防衛計画部長、航空自衛隊幹部学校長、北部航空方面隊司令官、航空自衛隊補給本部長などを歴任し、2017年に退官。2022年5月現在、API(アジア・パシフィック・イニシアティブ)シニアフェロー。
執筆者プロフィール
兼原信克(かねはらのぶかつ) 1959年生まれ。同志社大学特別客員教授、笹川平和財団常務理事。東京大学法学部を卒業後、1981年に外務省に入省。フランス国立行政学院(ENA)で研修の後、ブリュッセル、ニューヨーク、ワシントン、ソウルなどで在外勤務。2012年、外務省国際法局長から内閣官房副長官補(外政担当)に転じる。2014年から新設の国家安全保障局次長も兼務。2019年に退官。著書・共著に『歴史の教訓――「失敗の本質」と国家戦略』『日本の対中大戦略』『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』『核兵器について、本音で話そう』などがある。
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