「オルバン・ハンガリー」と共鳴する米「親トランプ保守」

執筆者:井上弘貴 2022年6月22日
エリア: 北米 ヨーロッパ
ハンガリーのオルバン首相が登壇した2022年のCPAC(CPACハンガリーの特設サイトより)
保守陣営の大規模イベントがハンガリーで開かれた。キリスト教的価値観に根差したオルバン政権の国づくりは、今や米国の親トランプ保守にとって理想形だ。「リベラリズムに対する疑念」で共鳴する両者の思想とは。

 

親トランプ保守の理想の国

 2022年5月、アメリカの共和党関係者を中心にした欧米の保守主義者が、ハンガリーのブダペストに集った。著名な保守の活動家や政治家が登壇する大規模イベントである「保守政治行動会議」(Conservative Political Action Conference)、通称CPACが当地で行われたのである¹。CPACがアメリカ国外で行われたことは過去にもあるが、ヨーロッパでの開催は今回がはじめてだった。このCPACハンガリーでは、4月の議会選挙で与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が勝利をおさめ、通算で5回目の首相就任を果たしたオルバン・ビクトルが基調講演を行い、ドナルド・トランプ元大統領もビデオレターのかたちをとって参加した²

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
井上弘貴(いのうえひろたか) 神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1973年、東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。博士(政治学)。専門は、政治理論、アメリカ政治思想史。著書に『アメリカ保守主義の思想史』(青土社)、『ジョン・デューイとアメリカの責任』(木鐸社)がある。
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