日中国交正常化50年:“大物親中派”が消えた理由――平成の政治改革と日中パイプ

執筆者:井上正也 2022年9月29日
タグ: 日本 中国
エリア: アジア
国交正常化交渉のため訪中した田中角栄首相(右)。左は周恩来中国首相、後方は大平正芳外相[1972年9月30日](C)時事
1972年の国交正常化から50年、冷え込む日中関係の背景として、「田中・大平ライン」のようなパイプの不在を指摘する声は少なくない。なぜ日中パイプは失われ、中国の影響力工作が弱体化したのか。50年の日中関係を振り返る。

 

 1972年9月の日中国交正常化から半世紀が経過した。しかし、日中両国間でこれを慶賀するムードは乏しい。両国関係がなぜ悪化したかという問いには様々なレベルで答えることができよう。構造的な要因としては、中国の国力が増大したことによって、日中間のパワー・バランスが大きく変化したことが挙げられる。また領土問題や歴史問題の対立のなかで先鋭化した日中両国のナショナリズムの存在も無視できない。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
井上正也(いのうえまさや) 慶應義塾大学法学部 教授。博士(政治学)。専門は戦後日本外交史、日本の対中国政策。1979年生まれ。2002年に神戸大学法学部卒業、2009年に同大大学院法学研究科博士後期課程修了。米ペンシルヴァニア大学歴史学部 客員研究員、神戸大学大学院法学研究科専任講師、香川大学法学部准教授、成蹊大学法学部教授を経て2022年4月より現職。主な著書に『日中国交正常化の政治史』( 2010/名古屋大学出版会。サントリー学芸賞受賞)がある。
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