泥沼に嵌ったタイ「対立」の深い根

執筆者:南部正 2009年6月号
エリア: アジア

空港占拠に首都騒乱。タイの国際的信用は今や地に堕ちた。二つに分断された国民にとって、唯一の希望は国王なのだが……。[バンコク発]怒りで興奮した赤シャツの群衆が会議場の入り口に押し寄せる。兵士らはこれを必死に押し戻そうとするが力なく追いつめられる。その圧力にこらえ切れずに粉々に破裂する玄関ホールの強化ガラス。赤い軍団はそこから大挙してなだれ込み、「アピシット、オークパイ(出て行け)!」と叫びながら会場を練り歩いた。 四月十一日、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国などの首脳が集まり会議を開くはずだったタイ中部パタヤのホテルに、シンボルカラーの赤いシャツを着たタクシン元首相支持派のデモ隊が乱入した。これを受け一連のASEAN関連会議は中止が決定。この瞬間、デモ隊は「過激犯罪集団」となった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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