大規模デモは「憲法なき国」イスラエルにとって好機にも

Foresight World Watcher's 3Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年4月2日
エリア: 中東 北米

司法改革法案に対する抗議デモでポスターを掲げるデモ隊[2023年3月29日、テルアビブ](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。大規模デモとゼネストに揺れるイスラエル政治の混乱は、まずはリスク要因として考えておくべきでしょう。ただ、「古くからの根本的な問題を秩序あるプロセスで解決するチャンスがようやく巡ってきた」と見る英エコノミスト誌のアプローチには虚を突かれた後に深く納得。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事3本、皆様もよろしければご一緒に。

Israel Is Somewhere It's Never Been Before【 Aaron David Miller、Daniel C. Kurtzer/Foreign Policy/3月30日付】

「かつてこの国で最も賢明で強力な政治家と考えられてきたベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ひどく、おそらくは致命的に、つまづいた」

「ネタニヤフの政治的キャリアは決して終わっていないし、連立政権にも崩壊の兆しはない。しかし、彼の政治的評価は落ち、司法革命を実現するための彼の連合の努力は深刻な打撃を受け、[米ジョー・]バイデン政権との信頼関係も崩れている」

 イスラエルでネタニヤフ政権に対する大規模なデモやゼネストが発生し、首相は、連立政権内の宗教政党や右派政党とともに実現を急いできた司法改革を先送りせざるをえない状況に追い込まれた。港湾や空港が一時閉鎖されたほか、抗議活動には軍の予備役の将兵も多数参加しており、安全保障への支障まで懸念される事態となっている。

 今月中旬にはサウジアラビアとイランが中国の仲介で国交正常化に合意したばかり。また、米国でドナルド・トランプ前大統領の起訴などにより2024年の大統領選への関心が高まるなか、イスラエル問題は争点のひとつとなっている。こうした背景も、イスラエルの政治的混乱の意味合いをいっそう複雑にしている。

 米「フォーリン・ポリシー」誌は3月30日付で「これまでとは違うどこかにあるイスラエル」を掲載。筆者は米カーネギー国際平和財団の上級研究員、アーロン・デビッド・ミラーと米国の元駐イスラエル大使、ダニエル・C・カーツァーで、冒頭の引用は彼らの論考からのものだ。そこでミラーらは4つのポイントを挙げ、今後の推移を予想している。……

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カテゴリ: 政治
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