中ロ「軍事産業」「衛星システム」「核分野」で深まる軍事協力

執筆者:山口信治 2023年4月13日
エリア: アジア ヨーロッパ
共同声明の署名式で握手する習近平国家主席とプーチン大統領(2023年3月21日=ロシア・モスクワ)(C)EPA=時事
ロシア・ウクライナ戦争をめぐり、中国の対ロシア軍事支援を警戒する声が高まっている。現状、殺傷兵器の提供は確認されていないが、両国の軍事面での協力関係が深化していることは間違いない。中国企業からロシア企業に対する軍事関連品の輸出実態、衛星システムの連携状況、ミサイル早期警戒システムでの協力関係、そしてロシアから中国に提供されている高濃縮ウランに注目しながら、中ロの軍事協力の深層に迫る。

 

 2023年3月、習近平国家主席はロシアのモスクワを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を行い、「新時代の全面戦略協作パートナーシップの深化」を宣言した。この宣言は、中ロの協力関係の継続と深化を示すものだった。中国とロシアは2019年に両国関係を「新時代の全面戦略協作パートナーシップ」に格上げし、さらに2022年2月4日の北京における首脳会談での共同声明は、「制限なき」協力関係をうたい上げた。直後に始まったロシアによるウクライナ侵攻は中国にとっても予想外の展開であり、これによって中ロは離れるのではないかという予測もなされたが、その後もこうした協力関係は継続してきた。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
山口信治(やまぐちしんじ) 防衛省防衛研究所地域研究部 中国研究室 主任研究官。専門は中国政治・安全保障、中国現代史、中国の党軍関係、米中関係。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院を経て防衛研究所に入所。2015年から現職。単著に『毛沢東の強国化戦略』(慶應義塾大学出版会、2021年、アジア太平洋賞大賞受賞)、共著に川島真・小嶋華津子編『習近平政権の目指す中国――理念・政策・課題』(東京大学出版会、近刊)、川島真編『ようこそ中華世界へ』(昭和堂、2022年)、『防衛外交とは何か―平時における軍事力の役割』(勁草書房、2021年)、『よくわかる現代中国政治』(ミネルヴァ書房、2020年)、『現代中国の政治制度-時間の政治と共産党支配』(慶應義塾大学出版会、2018年)、『中国対外行動の源泉』(慶應義塾大学出版会、2017年)などがある。
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