
ドナルド・トランプ前大統領が出馬宣言をした昨年11月から既に半年近くたった。最近の共和党支持者の支持率も盤石で、ここまでのホワイトハウス奪還のシナリオはトランプが思い描いていた通りのようにも見える。だが、そこに死角はないのか。トランプの狙いと今後の選挙戦を展望する。
史上最速レベルの出馬宣言
トランプには類まれな才能がある。
それは、どう行動すれば自分の支持者が反応するか、誰よりも分かっていることである。過去2回の大統領選挙での各種データを参照しているかもしれないが、トランプが優れているのは、何といってもテレビタレントとして研ぎ澄まされた世論に対する皮膚感覚だ。
「皮膚感覚」と書いたが、実はそこにはかなりの合理性がある。
今回の再選のためのトランプのシナリオを見るとその合理性が見えてくる。
トランプの再選シナリオとは「徹底的に早く動き続ける」ことに尽きる。
最初に動くことで、常に注目される。そして、注目を集めれば支持率アップにつながる。
それだけではない。支持率アップは、アメリカの場合、立候補前なら自分の政治団体への献金増に、立候補後なら自分の選挙の献金増としてそれぞれ直接、跳ね返ってくる。その資金を、遊説の費用やテレビやオンライン広告に投ずることでさらに支持を高めることができる仕組みだ。
徹底的に注目されるという行動原理は、好循環を生み出す。これこそが、トランプ再選のための鍵となるため、常に注目を集める必要がある。
「早く動く」象徴だったのが、超早期のトランプの大統領選挙出馬宣言だった。出馬宣言は予備選開始の1年以上、本選挙の2年も前の昨年11月15日の段階で行われた。ただ、実際には本人はもっと早く出馬を目指しており、昨年の初夏の段階で既に立候補表明をにおわせていた。ただ、昨年11月8日の中間選挙に向けて戦っていた共和党の候補者への献金を奪うことになってしまうため、選挙が終わる前まで待った形だ。
いずれにしろ、2大政党の有力な候補でこれほど早い段階での出馬表明は少なくとも近年はない。異例の早さでの出馬宣言は「史上最速」レベルだ。
トランプ独走の共和党指名候補レース
異例の早期出馬もあって、トランプはいまのところ、共和党のライバルたちを大きくリードしている。
政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」(4月27日時点)がまとめた3月29日から4月24日までに発表された9種の各種世論調査の平均値によると……

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