中国主導のサウジ・イラン合意がインドにとって持つ意味

執筆者:ジャガンナート・パンダ(Jagannath Panda) 2023年5月4日
タグ: インド
エリア: アジア
中国が西アジアの地域政治における支配的なプレーヤーとして台頭すれば、インドの国益を操ることのできる手段を得ることになる(C)EPA=時事
 
中国の仲介によってイランとサウジが和平合意に至ったことは、中国及びパキスタンと国境紛争を抱え、イランとサウジを中東における協力国と位置付けてきたインドにとって、どのような意味を持つのか。中東の安定は貿易促進という形で利益となるものの、中国の台頭はインドの国益が同国に左右されるリスクをもたらすことになる。

 中国の仲介によってシーア派とスンニ派それぞれのリーダーであるイランとサウジアラビア――が3月に和平合意に至ったことは、確かに驚くべき成果だ。

 この合意はサウジアラビア王国、イラン・イスラム共和国、中華人民共和国の三者共同声明で強調されている通り、有力なシーア派聖職者ニムル・アルニムル師がサウジで処刑されたことをきっかけに7年間、完全に崩壊していたサウジとイランの外交関係の早期再開(2カ月以内)をもたらすものとなる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
ジャガンナート・パンダ(Jagannath Panda)(ジャガンナートパンダ) スウェーデンの安全保障・開発政策研究所ストックホルム南アジア・インド太平洋センター長、オランダのハーグ戦略研究センターのシニアフェロー、Routledge Studies on Think Asiaシリーズ(英テイラー&フランシス刊行)の編集責任者を兼任。
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