米識者が提唱するウクライナ復興プラン

Foresight World Watcher's 3Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年6月16日
エリア: ヨーロッパ
ウクライナの反転攻勢の成否の鍵を握るのは欧米諸国の支援継続 (C)EPA=時事
 

 今週もお疲れ様でした。ロシア・ウクライナ戦争でのウクライナの反転攻勢が始まりました。英語メディアには楽観と悲観が入り交じった分析や予測が混在しますが、その中からウクライナがこの戦争に「勝てる(winnable)」とする米メディアの論稿と、米識者が提唱するウクライナ復興プランを紹介します。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事3本、皆様もよろしければご一緒に。

Ukraine's Winnable War【Gideon Rose/Foreign Affairs/6月13日付】

 この「週末に読みたい海外メディア記事」ではこれまで米国内の早期停戦論の“盛り上がり”を取り上げてきたが、反転攻勢スタートが報じられるこのタイミングでも、そうした主張は現れ続けている。

 一方、この流れに真っ向から反論する声も目立つようになってきた。訳書『終戦論 なぜアメリカは戦後処理に失敗し続けるのか』千々和泰明訳/紀伊國屋書店]でも知られる米外交問題評議会(CFR)特別研究員、ギデオン・ローズが米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌に寄せた「ウクライナが勝てる戦争」(6月13日付)だ。

 FA誌サイトの「最も読まれている記事」ランキングで2位に入る(米東部標準時6月16日午前2時時点)この論稿は、FA誌などにこれまで登場した停戦論や悲観論を紹介し、「一般的な見方では、この戦争は軍事的なデッドロックであり、双方の当初の目標からはほど遠い交渉による解決で終わる運命にあるとされる」としたうえで次のように説く。

「ウクライナに圧力をかけて妥協的な和平を迫る必要はない。むしろ米国と欧州は、ウクライナがロシア軍を、国際的に認められた国境まで押し戻し続けられるようにするべきだ。2014年の最初の侵攻以来、ロシアが獲得した利益を逆転させ、戦争を真の意味での現状維持で終わらせることは、可能であるだけでなく、目指すべき最良の選択肢である」
「したがって米国と欧州は、ウクライナへの従来の軍事援助を制限するのではなく、量を増やすべきだ。装甲、火砲、弾薬の増強、防空能力の向上、第4世代戦闘機部隊の提供といったこれまでの支援を、必要とされるかぎり続けるのだ。この手法は正しいだけではない。交渉による持続的な和解の可能性を高めるにせよ、ウクライナ軍が継続的な支援によって防衛を無期限に続けられるようにするにせよ、戦争を終わらせる最善の方法でもある」
「『侵略は割に合わない』というメッセージをドイツが理解するには2度の世界大戦での敗北が必要だった。ロシアが同じ教訓を得るには、ウクライナだけでなく第二次冷戦での敗北も必要かもしれない。それまで壁は守られなければならない。前回と同じように。満足のいく結果を得るには何年もかかるかもしれないし、ウクライナと西側諸国のパートナーにとってコストは高くつくだろう。しかし、そうしない場合のコストはさらに高くなり、ウクライナだけでなく欧州全域、そして世界中に及ぶだろう」

 ローズは、支援継続によって戦争が長引いてもロシアが核の使用に踏み切るリスクは小さいと見ており、その分析も読みどころだ。……

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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