海外メディアは「プリゴジンの乱」をどう報じたのか

Foresight World Watcher's 3Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年6月30日
エリア: ヨーロッパ
プリゴジンの乱とは何だったのか (C)EPA=時事

 

 今週もお疲れ様でした。ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジンが起こした反乱から約1週間、海外メディアはさまざまに「プリゴジンの乱」について論じています。その中から、米FA誌が報じた、プーチン体制への影響、ロシアの歴史を踏まえた考察、大国概念の再考についての3本を紹介します。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

The Beginning of the End for Putin?【Liana Fix、Michael Kimmage/Foreign Affairs/6月27日付】

「ロシアの対ウクライナ戦争は、ウラジーミル・プーチン大統領の手のつけられない独裁者としての神秘性を破壊した。2022年2月24日以前、プーチンは無節操で攻撃的に見えただろうが、シリア、クリミア、そしてそれ以外での軍事的な策動を通して、有能な戦略家のようにも見えたに違いない。その後、ロシアにとって何の脅威にもならない国を侵略し、軍事作戦で何度も失敗することで、一挙に無能さを露呈させた。その最新の例が、傭兵指導者エフゲニー・プリゴジンが今週末に起こした短期間の武装反乱であり、プーチンの独裁者としての神秘性は損なわれたばかりだ」
「プリゴジンの動機と意図が何であれ、彼の反乱はプーチン政権の深刻な弱点である庶民蔑視を白日の下にさらした。[中略]プーチンの狡猾さは、この国の非エリート層に戦争を押し付けた。彼らは恐ろしい植民地闘争に引きずり込まれ、モスクワは彼らの命を無謀に扱わないまでも、彼らに冷淡な態度をとりがちだった。多くの兵士は、自分たちが何のために戦い、死んでいるのか、いまだにわかっていない。プリゴジンは、そんな兵士たちの代弁者となった。彼の背後には政治的な動きはなく、明確なイデオロギーもない」

 これは米外交問題評議会(CFR)の欧州研究員、リアナ・フィクスとアメリカ・カトリック大教授のマイケル・キンメージが米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌サイトに寄せた「プーチンの終わりの始まり?」(6月27日付)の一節だ。フィクスとキンメージはロシア・ウクライナ問題について注目すべき論考をいくつも発表してきたチームだけに、今回も注目を集めている。……

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 政治 軍事・防衛 社会
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top