AIで教育は「最適化」から「クリエイティブ」へシフトする|須藤修・中央大学ELSIセンター所長(3)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、AIの使用がもたらす教育現場での課題と拓かれる未来について、東京大学名誉教授・須藤修氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
東大が「AI 使用宣言」をした理由
──高等教育の現場では、学生がChatGPT等を用いて作成したレポートや論文を提出するという問題に直面しています。海外、そして日本ではどのような規制や対策がなされているのでしょうか?
「AIを使おうと考える大学は増えていくと思います。東京大学は日本の大学ではいち早くAIを使っていくと宣言しました。ただし、使用する際の手続きを遵守することを学生に求めています。たとえば、引用です。従来の文献から引用する時と同様の作法を、AIが提供する情報を使用する場合にも適用しなければいけない。そこに引用が含まれている場合は、従来通りの引用符や出典を徹底して入れていかなければなりません。問題は、ChatGPTを使うとデータソースが取れないということです」
「しかし、Bing AIなどは出典元のデータを提示してくれる。また、どのようにその情報をAIから引き出したのかというプロンプトも合わせて記載する必要があります。何をプロンプトに書いたかによって、AIの回答が変わるため、ここまで記載する必要があるのです」
「社会に出てからAIを使って、剽窃(ひょうせつ)するわけにはいきませんから、こういった作法はむしろ教育機関で積極的に教えていくべきでしょう。学生はAIを使います。だからこそ、使い方を教えていかないといつか犯罪者になってしまう恐れがある。中央大学や東京工芸大学なども、東大と同じような方針を取っていく考えです」
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