ポイント・アルファ (18)

がん治療「光免疫療法」のフロンティア――「成果」「費用」「入院期間」の実際|篠﨑剛・国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長(2)

執筆者:関瑶子 2025年3月18日
タグ: 日本 健康
光免疫療法(アルミノックス治療)の日米の治験結果は、米では43%で病変の縮小効果を認め、日本では64%で腫瘍に対して効果を確認した。現在、アルミノックス治療は全国170の施設で受けられ、一定の条件を満たせば保険診療として行われるため、高額療養費制度の対象となる。治療のための入院期間は1週間程度で済むという。(聞き手:関瑶子)

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 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、がんの第5の治療法と目されるアルミノックス治療の実際の治療成績や費用、手順について、国立がん研究センター東病院頭頸部外科医長の篠﨑剛氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

頭頸部がんへの効果を確認

——アルミノックス治療の具体的な効果について教えてください。

「2015年、30名の頭頸部がん患者を対象にしたアルミノックス治療の臨床治験が米国で始まりました。この治験で、ヒトに対して初めてアルミノックス治療が用いられました」

「この試験では30例中4例(13%)で病変の完全な消失が認められました。さらに、9例(30%)で病変の縮小を確認。合わせて13例(43%)で病変の縮小効果を認めた、という結果が得られました1

「日本では、2021年1月から特定のがんに対してアルミノックス治療の保険診療が始まりました。保険診療開始後、アルミノックス治療の効果について、58例の臨床調査が実施されています」

「それによると、19例(33%)で病変の消失、18例(31%)で病変の縮小が認められ、64%で腫瘍に対して効果があった、とのことです2

カテゴリ: 医療・サイエンス
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執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
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