日本はASEANにとってどんな国?

Foresight World Watcher's 4Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年12月16日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア
マレーシアとは「政府安全保障能力強化支援(OSA)」によるマレーシア軍への救難艇供与で合意した[左からアンワル首相、モハマド外相、上川外相、岸田首相=2023年12月16日、首相官邸](C)EPA=時事

 今週もお疲れ様でした。本日16日から日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の友好協力50年を記念した特別首脳会議が始まります。インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー(首脳会議には不参加)、ラオス、カンボジアの10カ国に東ティモールも加盟が内定しているASEANは、現時点で日本の5倍以上にあたる6億8000万人弱が暮らします。その存在感は経済的にも安全保障面でも大きく増している一方で、対中国スタンスや南シナ海の領有権問題など各国の思惑が複雑に絡み合うため、日本の対ASEAN政策は包括的なアプローチが難しいという課題があります。今回取り上げる記事にもある通り、これまでの50年の信頼が貴重なアセットなのは確実ながら、ODA(政府開発援助)が中心の“支援”の構図から個別具体的なパートナー関係への移行が急がれます。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

Japan is a cuddlier friend to South-East Asia than America or China【Economist/12月14日付】

「アジアの地政学はしばしば、2人の巨人という言葉で語られる。現行の超大国であるアメリカと台頭しつつある大国・中国とがこの地域に聳え立ち、ASEAN10カ国などの小国を引き込もうと競い合うという図式だ。しかし、これは多くのことを見落としている。[中略]強い結びつきを持つもうひとつの豊かな大国の極めて重要な役割も無視されている。日本のことだ」

 日本とASEANの友好50周年を記念する特別首脳会合が12月16~18日に東京で開催される。このイベントを契機として、東アジア・東南アジアにおける日本の地位と役割に触れる記事が海外メディアに増えている。

 冒頭で引用したのは英「エコノミスト」誌の「東南アジアにとってアメリカや中国より親密な友人である日本」(バンコク・ジャカルタ・マニラ・シンガポール・東京発、12月14日付)の書き出し。記事は、次のような事実を挙げ、「多くの東南アジアに向け、日本は資本や技術、援助の供給源として、ライバル大国らに対する重要なヘッジを提供している」と日本を評価する。

■ASEAN諸国への過去10年の海外直接投資総額は、米国が2090億ドル、中国が1060億ドルで、日本が1980億ドル

■シンガポールの国立ユソフ・イサーク研究所(ISEAS)が東南アジアの研究者、ビジネスマン、政策立案者を対象に行った調査では、日本は地域で最も信頼される外部パートナー

■地域紛争の調停から地域制度の構築に至るまで、日本は関与を持続させ、影響力を蓄積している

 もっとも、日本側の思惑やASEAN側の受け止め方は、時代によって変化してきている。そのベースにあるのは、東南アジアの成長と、それを上回る中国の拡大だ。……

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