【Explainer】ドイツ政府、ロシア石油大手ロスネフチ子会社の収用を検討

2024年2月15日
タグ: ドイツ ロシア
エリア: ヨーロッパ
(C)REUTERS/Dado Ruvic
ドイツ経済省は2月6日、ロシアの石油大手ロスネフチに対し、同社のドイツ子会社について株式の収用を検討している旨を通知した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ドイツ政府はすでにロスネフチの独国内資産を信託管理下に置いているが、この期限が切れる3月を控え動きがあった。

[ベルリン発/ロイター]ドイツでロスネフチの代理人を務める法律事務所が8日に明らかにした。この方針について現時点で判明していることと、想定できるプロセスは以下の通り。

ドイツ政府がロスネフチの資産を収用する狙いとは

 ロシアの本格的なウクライナ侵攻を受けて、ドイツ政府は2022年9月、ベルリンにあるシュヴェット製油所の株式54.17%を含むロスネフチの国内保有資産を信託管理下に置いた。信託管理の期間については昨年9月に2度目の延長を決定しているが、これも3月には期限を迎える。

 ドイツ経済省は収用を検討する理由として、ロシアが同社の経営権を取り戻した場合はシュヴェット製油所の操業が危ぶまれることをロスネフチ側に通知したという。

ロスネフチ資産の収用にはいくらかかるか

 ロシアのビジネス紙ヴェドモスチは2022年、あるコンサルタント会社からの情報として、ロスネフチのドイツ国内資産が70億ドルに相当する可能性を伝えた。収用する場合のロスネフチへの補償金額およびその調達方法について、ドイツ政府は明言を避けた。ロスネフチ側はコメント依頼に返答していない。

収用の法的根拠

 ロスネフチはすでに昨年12月の時点で信託管理に対して訴訟を起こしているが、それ以前から欧州人権裁判所、投資保護仲裁裁判所、欧州司法裁判所への上訴を準備していると述べている。

 ドイツ行政科学大学シュパイヤー校のヨアヒム・ヴィーラント教授(憲法・行政法・公共商法)は、収用に当たってはロシアのウクライナ侵攻を受けて改正されたドイツのエネルギー安全保障法が適用されるという見方を示す。……

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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