AIが切り開く音楽の新時代

2024年2月25日
タグ: AI
今のところ音楽作りに使われているのは比較的簡素なAIだ[ロンドン大学クイーンメアリー校の博士課程学生アンドレア・マルトネッリ氏が、AIを搭載し機能拡張したギターの「HITar(ヒター)」を演奏する様子=2024年1月25日、アメリカ・カリフォルニア州アナハイムで開催された全米音楽商工会(NAMM)の展示会](C)REUTERS/Jorge Garcia
2023年 11月にはビートルズが、ジョン・レノンの声を過去の録音からAIで再構築し作った曲「Now and Then」を「ビートルズ最後の新曲」として発表した。さらに、ワーナーミュージックも23年11月に、フランスの歌手故エディット・ピアフの声をAIで再現するべく、彼女の遺産管理者と連携していると発表した。音楽の生産チェーンの中にAIの居場所は?

[グダンスク、ロンドン発 /ロイター]ロンドン大学クイーンメアリー校では、人工知能(AI)を使い「音楽の新しい仮想世界」を開発する取り組みが進められている。

 大学の録音室では、博士過程の学生アンドレア・マルトネッリ氏とマックス・グラフ氏が、AIを搭載した楽器を演奏する姿が見られる。彼らは、デジタルメディア上級講師のマチュー・バルセ氏の指導のもと、計算創造性と生成AIの研究を進める30人以上の博士課程の学生のうちの二人だ。彼らは音楽と先端技術が融合する未来的なスタジオを設立した。

 グラフ氏は自身が開発した仮想楽器「Netz(ネッツ)」を演奏しながら、ロイターの取材に対し「私たちが生活している物理的現実を拡張するかのような技術だ」と話した。ジェスチャーを追跡する拡張現実ヘッドセットが、単音や和音などの出力を作り出す。一方でマルトネッリ氏は、AIセンサーが動きを読み取りドラムやシンセサイザーの音を出すギターの「HITar(ヒター)」を弾く。

 AIは、1950年代ごろから音楽制作の現場で使われるようになった。……

カテゴリ: カルチャー
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