チョコはどこから来た? カカオの複雑な起源が明らかに

2024年3月17日
カテゴリ: 医療・サイエンス
エリア: 中南米
新たに明らかになったカカオの歴史は、アメリカ大陸先住民の文化同士が長距離にわたり密接に交流していたことを示唆している (C)REUTERS/Kim Kyung-Hoon
チョコレートの原料であるカカオはいつ栽培化され、どのように利活用が始まったのか――。カカオ栽培化の初期の経緯が、中南米の古代の陶器から検出された残留物により理解が深まってきている。3月7日、学術誌『Scientific Reports』に論文が発表された。

[ワシントン発/ロイター]研究チームは陶器に残ったカカオの痕跡から、カカオが5000年以上前にエクアドルで初めて栽培化され、交易ルートを通じて急速に広がるまでの経緯を明らかにした。カカオは、南米の太平洋岸の北西側まで広がり、次第に中米に到達し、1500年後にメキシコに到達した。

 今日のチョコレートは、テオブロマ・カカオという熱帯常緑樹の楕円形の実の種(カカオ豆)から作られている。カカオ豆は焙煎され、ココアやさまざまなチョコレート製品へと姿を変えていく。古代では、飲み物や食事の材料として消費された。

 研究チームは、約6000年にわたる先コロンブス期の陶器300点以上を調査。陶器は古代の文化の芸術性を表し、擬人的なデザインが含まれていた。陶器からは、カカオのDNAやカカオに関連する3種類の化学物質を探した。調査した化学物質の中にはカフェインも含まれる。その結果、陶器の約30%からカカオの痕跡が見つかった。この発見は、古代文化の間でカカオ由来の製品が、以前考えられていたよりも広く使われていたことを示している。

 2018年に発表された別の研究は、エクアドルのサンタアナ・ラ・フロリダ遺跡の陶器の調査で、カカオの栽培化と活用がエクアドルで約5300年前から始まったことを明らかにした。この発見に加え、今回の研究ではカカオの広がりに関し、先コロンブス期に存在していた19の文化の役割を検討した。最も初期の活用の痕跡は、エクアドルのバルディビア文化とコロンビアのプエルトオルミガ文化の陶器から見つかった。

 陶器から見つかった古代DNAは、さまざまな文化がカカオの木を新しい環境に適応すさせるために交配したことを示している。

 フランスの農業研究センターCIRADの分子遺伝学者で筆頭著者のクレア・ラノー氏は、「カカオ栽培化の初期のステップは、以前に考えられていたものよりも複雑な過程をたどってきたことがわかった……

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