非難、沈黙、はたまた理解「イラン評」にあらわれた中東諸国の“事情”

執筆者:Foresight 2009年8月号
エリア: 中東

 イラン大統領選の開票結果に抗議した改革派を、保守強硬派が容赦なく鎮圧。欧米諸国は一様に強く非難したが、中東諸国の反応は分かれた。 最も批判的だったのはイスラエルだ。保守強硬派のアフマディネジャド大統領を「最大の脅威」とみなすイスラエルでは、大統領選の混乱が連日大きく報じられた。ただ、「保守強硬派=悪、改革派=善」という単純な論理より、「イスラエルにとっては、アフマディネジャド氏が勝つ方が有難い」(地元紙)といった一見意外な声が目立った。 イラン情勢に詳しい識者は「誰が大統領になろうと、核やミサイルの開発は最高指導者のハメネイ師が進める」とみる。ならば、欧米で評判が悪いアフマディネジャド政権が続く方が、国際社会で「反イラン」の味方を作りやすいという発想だ。デモ鎮圧により多数の死傷者が出たことで、イスラエルは「イランの政権が真の姿をさらけ出した。この残忍な体制が核兵器を保有することが全世界にとっていかに危険か、理解されたと思う」(ネタニヤフ首相)と、批判のトーンを上げた。

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