[ロイター]昨年4月15日に首都ハルツームでスーダン国軍と準軍事組織RSF(即応支援部隊)の間で戦闘が始まる何カ月も前から緊張は高まっていた。
2019年にイスラム主義の独裁者オマル・アル=バシールがクーデターで失脚した後に発足したハムドゥーク暫定政権は、2021年10月に軍事クーデターで崩壊した。以降、国軍とRSFは不安定なパートナーシップを結んでいた。国際社会が支援した新たな民政移行のための計画を進めるにあたって、国軍とRSFの対立は武力衝突に発展した。計画では国軍とRSFの双方が権限を譲渡することになっていたが、ふたつの分野が争いの元になった。ひとつはRSFが国軍に統合されるスケジュール、もうひとつは統合した国軍とRSF幹部の新たな指揮命令系統と文民統制の問題だった。
国軍とRSFは、それぞれ手を広げてきたビジネスの利権を守ることでも衝突した。両者はスーダンで最も価値があり密輸されることの多い金(ゴールド)で軍資金を得てきた。
主なプレーヤー
権力闘争の主役は、2019年以来スーダン統治評議会のトップであり軍の指導者であるアブドルファタハ・ブルハン将軍と、RSF司令官のムハンマド・ハムダン・ダガロ(通称ヘメティ)だ。金採掘などの事業で富を築いたヘメティは統治評議会の副議長でもあり、その率いるRSFではヘメティの家族や一族が重要な役割を果たしている。RSFの権力基盤はスーダン西部のダルフール地方で、2003年に国軍が反政府勢力を大量虐殺したダルフール紛争でRSFは国軍と共に戦う準軍事組織として発足した。
複数のアナリストによれば、国軍におけるブルハンの地位は確たるものではない。
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