深いトコロを「伝える技術」 (4)

菊間千乃さん:思いを込めた「遺言書」で相続トラブルを防ぐ

執筆者:フォーサイト編集部 2025年2月11日
タグ: 日本
遺言書は家族に対する人生最後のラブレター(写真は本人提供)

――遺言書は人生最後のメッセージを伝える大事な書類ですが、実際に書いたことある人は少ないように思えます。

 遺言書は、被相続人(亡くなった方)の方が、自分の想い通りの遺産相続を実現するため、そして、遺された家族が争うことなく、速やかに相続手続きを進めることができるようにするために、作成しておくとよい書類です。

 特に遺産を法定相続分に従って分けたくない場合は、遺言書を書いておく必要があります。例えば、相続先の子供たちが2人兄弟で、一方に多く財産を残したい、自治体や特定非営利活動法人(NPO法人)など自分の思いを実現してくれるような組織に遺贈寄付したい場合などは、遺言書を作成することで、自分の意思通りの相続が行われる可能性が高くなります。

 一方で、被相続人の想いのままに、法定相続とは異なる内容だけが書かれた遺言書を作成しても、私の実務の経験上、高い確率で、遺族間の遺産を巡るトラブルに発展してしまうのではないかと思います。

著書に『おひとりさま・おふたりさまの相続・終活相談』がある菊間千乃氏は、弁護士として多くの相続案件に携わってきた。遺言書は「最後のラブレター」だという菊間氏に、法的拘束力を持ちながら、自分の意思をしっかりと伝える遺言書の書き方について話を聞いた。
カテゴリ: カルチャー
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