深いトコロを「伝える技術」
深いトコロを「伝える技術」 (2)

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教授/曽布川拓也さん:数学的に伝えるプレゼン術

執筆者:フォーサイト編集部 2024年10月18日
タグ: 日本
数学的な思考や説明を基にした伝え方は極めて論理的であり、相手を説得するプレゼンにも応用できる(写真は本人提供)

――普段は学生相手にプレゼン技術を教えているそうですね。

 プレゼンにおいて、効果的に伝える技術は世の中にたくさんあります。具体的には、結論から話す、具体例を交える、などでしょうか。その技術の一つが、「数学的に伝える」です。私は数学者ですので、日々数式や証明などについて研究しています。この数式や証明などの思考や説明を基にした伝え方が極めて論理的であり、相手を説得するプレゼンにも応用できるのではないか、と考えました。

 ビジネスパーソンが取引先に伝えたいことがうまく伝えられない、的確に言語化することができないと、相手からの信頼を勝ち取ることができません。「この人は大丈夫だろうか」と不安に思われて、いい評価が得られないでしょう。「数学的な伝え方」を身につけることができれば、こういった伝え方で損することを未然に防げます。

 一方、日常会話では、数学的な伝え方は多用しない方が無難です。曖昧さを残した方が、コミュニケーションが円滑に進むことも多いので、限られた状況で使うべき技術だと思います。

著書に『数学的に話す技術・書く技術』がある曽布川拓也さんは、早稲田大学の教授として専門的な数学の講義の他に、学生相手に数学的なアプローチを基にした学会や研究発表の技術を教えている。今回、商談や会議で周囲から信頼を得るプレゼン術について、ビジネスパーソン向けに話を聞いた。曽布川さんは「メモ書きは文章にしてはいけない」と言うが、それは何故だろうか。
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カテゴリ: カルチャー
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