「ドナルドーサナエ」二人の距離は「米中関係」に逆相関?
Foresight World Watcher's 5 Tips
米中首脳会談は10月末の開催に向けて調整が進んでいるようです。中国のレアアース輸出規制強化にアメリカが100%追加関税案で対抗し、一時は会談実現を危ぶむ見方もありました。ドナルド・トランプ大統領は12日、SNSに「Don’t worry about China, it will all be fine! (中国については心配するな。すべてうまくいく!)」と投稿。中国との決定的な関係悪化を回避しました。
中国は2050年に世界一になる「夢」を掲げており、米中の長期的競争関係は維持されるとみるべきでしょう。しかし、そこには双方の国内事情や国際情勢の影響を受けて、いくつかの“波”も生まれるはずです。米中が融和に向かう局面に、日米関係にはどのような力学が働き、日本外交はこれにどう対応すべきか。
10月24日召集の臨時国会で高市早苗氏が首相に指名されれば、27日に来日予定のトランプ氏との首脳会談に臨みます。さっそく難しい課題が待ち構えます。アメリカの著名な日本専門家のマイケル・グリーン氏は、米フォーリン・アフェアーズ誌に最近寄せた論考でこの問題にも言及しています。
懸念すべき経営破綻事例も報じられている米国の信用不安と、主要国に共通する政府債務悪化に関する分析記事も加え、フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本、皆様もよろしければご一緒に。
Asia's Trump Problem【Michael J. Green/Foreign Affairs/10月17日付】
♪気をつけろ 泣いちゃ駄目 すねちゃ駄目
……というのは、「サンタが街にやって来る」の歌い出しの和訳。英語オリジナルの歌詞はこの後、「なぜなら/サンタ・クロースが街にやってくるから」と続くのだが、今ならこのくだりは「なぜなら/ドナルド・トランプがアジアにやってくるから」と歌ってもいいかもしれない。
10月末から韓国の慶州で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を契機として、トランプは日本などへも足を伸ばす見通し。迎えるアジア太平洋エリアの諸国では、日ごろの戦々恐々状態が加速している。
「[1期目の]トランプ・チームは2017年、アジア戦略の明確なコンセプトを持たないまま政権の座に就いたため、安倍[晋三首相]は日本の『自由で開かれたインド太平洋』という枠組みを採用するよう説得した。[略]/安倍は、アメリカのパワーが日本の利益にとって不可欠であることを理解し、その[アジア・太平洋地域における]パワーを形づくることに努め、大きな成功を収めた。そしてトランプの最初の任期中、アジアの指導者たちは彼に倣った」
「しかし、トランプの2期目において、アジアの指導者たちはトランプ大統領との同盟関係の扱いに苦労している。2020年に病で辞任し、2022年に暗殺された安倍の穴を埋めようと進み出た者はいない」
このように指摘するのは、1990年代からジャパン・ハンドラーのひとりとして名を馳せ、現在は豪シドニー大米国研究センターCEOを務めるマイケル・J・グリーン。
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