外国首脳もトランプの義理の息子であるクシュナー氏を軽んじない[エルサレムで会談するクシュナー氏(中央左)とイスラエルのネタニヤフ首相(同右)=2025年11月10日、イスラエル政府提供](C)時事
「おやっ」と軽い驚きを世界中に与えたはずだ。10月9日のガザ和平20項目合意を承認したイスラエルの閣議で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の左隣にジャレッド・クシュナーが座っていたことだ。右隣にはスティーブ・ウィトコフが座ったが、ウィトコフはドナルド・トランプ大統領が任命した中東担当特使だから、米国作成の20項目合意の説明役として閣議に参加するのは分かる。だが、元大統領上級顧問とはいえ今は私人に過ぎないクシュナーが、なぜここにいるのか。
トランプの娘婿クシュナーは、その直前エジプト・シャルムエルシェイクの和平交渉に参加し、10月20日にもエルサレムを訪れネタニヤフと会談している。イスラエルがハマス指導者殺害のためにカタールを攻撃した後、ホワイトハウスを訪れたネタニヤフがトランプに指示されカタール首相に謝罪の電話を入れる際にも臨席した。謝罪はクシュナーのアイディアという。この電話の直後にトランプは20項目合意を発表した。
クシュナーは11月10日にもウィトコフとエルサレムを訪れ、ネタニヤフに和平合意「第1段階」の履行を促し、「第2段階」への移行についても協議したと伝えられる。クシュナーはすべての動きに関与し、その遂行を現場で見守っている。
トランプ外交の「ディール」を担う
今回のガザ和平はトランプ外交に見える二つの特徴が如実に反映されている。クシュナーは、いわばその特徴の体現者としてガザ和平交渉の舞台に登場した。
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