【Analysis】ベネズエラが対米交渉で使えるのは結局――原油

2025年11月30日
タグ: 紛争 トランプ
エリア: 中南米
制裁によって国営石油会社PDVSAの供給契約の大半が停止されている。これは新たな政治合意次第で米国向け輸出を柔軟に増やせることを意味している (C)REUTERS/Leonardo Fernandez Viloria
現在のベネズエラの原油生産は最盛期の3分の1以下の水準であり、産出原油の80%以上は中国に向けて輸出される。この原油を米国・欧州向けに振り替えること。そして、「反マドゥロ政権」にとってもエネルギー産業の再建が不可欠だと米国に理解させ、ライセンス整備などでのコミットメントを引き出すことが、圧力を強めるトランプ政権に対するベネズエラの交渉材料になるだろう。

[ヒューストン発/ロイター]ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が米国との交渉で取引材料にできるのは、主に中国向けに販売している原油の船積み(カーゴ)だ。米トランプ政権は、米国の制裁によって外国企業の油田投資が細っているマドゥロ政権との協議に応じる用意があるとしている。

 米国は11月24日、ベネズエラの「カルテル・デ・ロス・ソレス(Cartel de los Soles)」を外国テロ組織に正式指定した。情報筋によれば今後数日のうちにさらなる作戦を開始する準備が進む中で、マドゥロ氏に対する圧力を強めた形になる。

 

原油というレバレッジ

 2025年のベネズエラの原油生産は日量110万バレル前後であり、これは過去最高だった1990年代後半の3分の1以下の水準にとどまっている。そして、船舶データによると6月から10月の間、輸出の80%以上が中国向けだった。

 これらのカーゴと、米国企業への操業ライセンス付与が、交渉におけるマドゥロ氏の最大のレバレッジになり得ると専門家は指摘する。

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