立憲・野田代表は解散を恐れて手打ち?
11月26日、高市早苗総理は就任後初めての党首討論に臨んだ。質問に立ったのは立憲民主党・野田佳彦、公明党・斉藤鉄夫、国民民主党・玉木雄一郎、参政党・神谷宗幣の4人の野党党首だ。
その中の1人、野田は高市の台湾有事に関する発言の真意について改めて質した。
野田「(存立危機事態の)話をした真意と、改めて政府の公式見解をお伺いしたい」
野田の問いに高市は、政府の見解は「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が判断する」という歴代政府の見解に変わりがないことを示した上で、なぜ台湾有事における具体例に踏み込んだのかについては次のような説明を行った。
高市「(質疑の場が)予算委員会でございます。ですから、政府のこれまでの答弁を、ただもう一度、もう一度と繰り返すだけでは場合によっては、予算委員会を止められてしまう可能性もあるということで」
立憲民主党の岡田克也元外相から具体的な事例を聞かれたため、可能な範囲で答えたまでだと答弁した高市に、傍聴していた立憲などの野党議員からはヤジが上がった。しかし、意外だったのは党首討論終了後の野田の対応だった。
野田「(岡田議員に対する総理の答弁は)基本的には従来からの統一見解をある種、上書きをするような言い方だったので、それ以上やってもいけないと思いましたし、それ(※党首討論では総理が具体例を挙げなかったこと)をもって、ある意味、事実上の撤回をしたと受け止めた」(11月26日・会見)
つまり、党首討論での高市の答弁を以て、この問題の追及を打ち止めにすると宣言したのだ。野田はなぜこのタイミングで“撃ち方止め”を宣言したのか。永田町にも幾通りかの見方があるが、最も有力なのは、高市政権になってにわかに激しくなったネットを中心とした世論の立憲民主党へのバッシングに危機感を持ち、党首討論の場を利用して一つの手打ちを行ったという見方だ。
以前も触れたが、立憲がいま恐れている最悪のシナリオは、高い内閣支持率を背景に高市が衆議院の解散総選挙に踏み切ることだ。台湾有事を巡る発言で高市をこれ以上追い詰めれば、政権を支持する世論からのさらなる反発を招くだけでなく、高市を刺激して総理の専権事項である「解散権」の行使を意識させることにもつながりかねない。
また、野田は高市と同じ松下政経塾出身で2人の関係は実は悪くない。党首討論でも野田は「40年以上前から存じ上げています」と高市との関係に触れた。立憲としては、当面は是々非々で高市政権に向き合いたいというのが本音なのだろう。
議員定数削減で得た「1年間のモラトリアム」
実際に永田町では、来年1月に召集される通常国会の冒頭で高市が衆院解散に打って出るかが話題になっている。
「高市さん(来年の)冒頭解散やるんじゃないか。そんな噂を聞いた」(野党議員)
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