アジアの不動産市場で予想外の変化が起きている。東京のマンション価格高騰は世界的に知られているが、それ以上の勢いで高級マンションが続々登場しているのがインドの首都デリー近郊の新興産業都市・グルグラム(旧名グルガオン)だ。グルグラムの住宅価格は、同国最大の商業都市ムンバイをもしのぐ水準に上昇し、世界有数の高級住宅地として注目されている。
不動産情報を手がけるニュースサイト「コンストラクション・ウイーク」によると、グルグラムでは2025年、1億ルピー(約1.7億円)を超える高価格住宅1494戸が販売され、その合計価格は2412億ルピー(約4100億円)と23年比で約6倍に跳ね上がり、ムンバイの実績を大きく超えた。
地元紙や雑誌には、緑に囲まれた3BHK(ベッドルーム3つ、ホール、キッチン)という間取りで4000万ルピー(6800万円)前後、4BHKだと5000万ルピー(8500万円)というマンションの広告が目立つ。2億円、3億円が当たり前という東京には及ばないが、同じ首都郊外で比べれば横浜市のマンション価格に迫る水準だ。
「マルチ・スズキ」など日・欧米の有力企業が進出
グルグラムはデリー都心部から約30キロ、メトロ(都市高速鉄道)利用で50分前後という便利な距離にあり、スズキの現地法人「マルチ・スズキ」の工場をはじめ日本や欧米の有力企業が数多く進出している。大手金融機関やコンサルタントなどが入居する複合施設「サイバーシティ」は、ハードロック・カフェやビアレストランなどが出店していて、若者の人気スポットとなっている。グルグラムにオフィスや社員の住居を構えようとする企業にとって、家賃の高騰はマイナス要因となるが、インド内外の不動産開発会社はもちろん、LIXILや大和ハウスなど住宅関連企業や三菱電機、東芝などエレベーターや家電メーカー、建材会社にとっては、商機を生む。そして将来的にはスマートインフラの実装という点でも大きなビジネスチャンスとなる。
東京の不動産価格は、取引件数や実需が原因というより、供給面の問題によって押し上げられている。有望な土地が限られているからだ。これに対しグルグラムの場合は、コロナ禍を脱却した近年のインドの好景気や、投資や相続を目的とする在外インド人の積極的な買いというダイナミックな理由に加え、
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