80時間世界一周 (65)

小国ジブチで火花を散らす大国たちの外交戦

 山々の峰を飛び越え、ゴツゴツとした岩肌ばかりが続くかと思うと、突然、砂漠が眼前に現れる。その先に広がるのは、どこまでも真っ青な海だ。エチオピアの首都アディスアベバから、飛行機で「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ東北部の一角、旧仏領のジブチ共和国に向かう。日本からの直行便はないため、アディスアベバを経由して、エチオピア航空やケニア航空で入るのが一般的だ。 この小国に降り立つと、アフリカ大陸が背負わされた過酷な現実を肌で感じる。灼熱の太陽、微粒子が容赦なく吹き荒れる砂嵐、そして生命を維持するための飲料水を確保する困難さ。一日を無事に生き抜くだけで、どれほどのエネルギーを消耗してしまうことだろう。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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