上院共和党「主流派」対「茶会党」の争い

執筆者:足立正彦 2010年10月25日
エリア: 北米

 今回の中間選挙キャンペーンでティーパーティー(茶会党)の強固な支援を受けている共和党上院議員候補は合計10名に達する。その一人が、サウスカロライナ州選出の共和党上院議員であるジム・デミントだ。現職の共和党上院議員ながら、共和党主流派とは一線を画し、全米各地で穏健派共和党議員の追い落しを目的としてサラ・ペイリン前アラスカ州知事らとともに茶会党支援候補の当選を積極的に支援している。

 デミントは自ら設立して委員長を務めている政治活動委員会(PAC)「Senate Conservati vesFund(SCF)」(http://senateconservatives.com/site/about)を通じ、無駄な連邦政府支出の削減や減税の推進等の保守的立場を鮮明にする候補を上院議員に当選させることを目的に活動している。SCFは、現在、全米に25万人以上のメンバーを擁している。デミントはケンタッキーの共和党上院議員候補であるランド・ポールやアラスカのジョー・ミラー、デラウェアのクリスティーナ・オドネルといった茶会党支援候補の選挙キャンペーンに、共和党主流派に逆らうかたちで熱心に肩入れをしており、SCFはデミントが支持を表明した上院議員候補に対し既に400万ドル以上を支援している。2008年共和党大統領予備選プロセスでは、デミントはミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の財政規律政策諮問グループの委員長兼財政問題担当上級部長に就任し、ジョージ・W.ブッシュ共和党政権下での財政赤字拡大を批判し、共和党が財政規律のある政党に再び戻る必要性を訴えていた財政保守派の代表的な政治家である。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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