インテリジェンス・ナウ

通信傍受ネットワーク「エシェロン」の真の目的

執筆者:春名幹男 2000年4月号
カテゴリ: IT・メディア
エリア: 北米

 世界最大の盗聴機関、米国家安全保障局(NSA)が世界に張りめぐらした通信傍受のネットワーク「エシェロン」に関する話題が最近、日本の新聞にも掲載されている。

 だが、正確さを欠く記事が多いのは残念だ。ある全国紙は「スパイ活動の組織は『ECHELON(エシャロン)』と名付けられ、NSAが関与して一九七〇年代に発足」と伝えている。

 ことし二月、欧州議会に提出されたエシェロンに関する報告書の内容を報じた記事だが、これだとエシェロンはまるで、NSAの傘下の新スパイ組織のように思える。

 だが、エシェロンはいわゆるスパイ機関ではない。エシェロンについては昨年十月、本欄でも紹介したように、スーパーコンピューターを網羅した通信傍受ネットワークのことである。

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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