世界最大の盗聴機関、米国家安全保障局(NSA)が世界に張りめぐらした通信傍受のネットワーク「エシェロン」に関する話題が最近、日本の新聞にも掲載されている。
だが、正確さを欠く記事が多いのは残念だ。ある全国紙は「スパイ活動の組織は『ECHELON(エシャロン)』と名付けられ、NSAが関与して一九七〇年代に発足」と伝えている。
ことし二月、欧州議会に提出されたエシェロンに関する報告書の内容を報じた記事だが、これだとエシェロンはまるで、NSAの傘下の新スパイ組織のように思える。
だが、エシェロンはいわゆるスパイ機関ではない。エシェロンについては昨年十月、本欄でも紹介したように、スーパーコンピューターを網羅した通信傍受ネットワークのことである。

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