“市場のカジノ化”が生む石油危機

執筆者:小西太 2000年10月号

その根底にあるのは、OPEC、メジャー、G7の弱体化[ロンドン発]新たな石油危機が世界経済の土台をゆっくりと侵食している。九月にはフランス、イギリス、オランダ、イタリアなど欧州各国で石油製品価格高騰への抗議行動が一気に広がり、イギリスではトラック運転手たちが製油所を封鎖する騒動に発展した。石油輸出国機構(OPEC)による今年三度の増産と米国による戦略石油備蓄(SPR)放出にもかかわらず、原油価格は一九九〇年の湾岸戦争以来、十年ぶりの高値となる一バレル三〇ドル台を超え続けている。過去三度の石油危機は戦場に端を発したが、今回の震源地は市場だ。「原油市場のカジノ化」を招いたのは、市場の三大パワーであるOPEC、メジャー(国際石油資本)、G7(主要七カ国)の弱体化だ。

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