結局、NTT完全分割は先送り。このままでは、日本経済の凋落は必至。「後進国に転落した日本の情報技術(IT)環境の再構築」という理想は、焼け太りを狙う総務省(旧郵政省)にとって、便利な隠れ蓑に過ぎなかったようだ。 電気通信審議会(郵政相の諮問機関)が昨年暮れ、まとめた答申「IT時代の競争促進プログラム」はその立派なタイトルとは対照的に、「NTT完全分割」などの本質論をすべて先送りしたうえで、官庁の予算権限拡大だけを優先する内容に貶められている。背後で官庁の焼け太り構想を支える自民党郵政族や日本電信電話(NTT)などの魑魅魍魎の跋扈も見逃せない。

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