「市場警察」米国SECの凄味

執筆者:Foresight 2001年8月号
タグ: 日本
エリア: 北米

九百人の捜査官を抱え、抜群の機動力で不正行為を摘発。単なる金融規制当局を超えた、「市場警察」の内情とは――。 米首都ワシントンDCの中心街、五番通りに面する証券取引委員会(SEC)。オフレコを条件に捜査局の幹部V氏を訪ねた。V氏は四十歳の若さでSEC捜査局のチーム長に上りつめた敏腕デカ。法律書や捜査書類がずらりと並んだ執務室の机の上には、二冊の分厚いファイルが積まれている。 白い表紙には、青字で大きく「ハーベイ・ピット」と新しいSEC委員長の名前。中身は何? 「株価が下がっているからタレコミが多い。新しいボスに頼まれて、現在進行中の捜査を説明する資料をファイルにまとめた」とV氏。「いんちきアナリスト、ネットのグル、粉飾決算企業――“BAD GUYS”(悪い奴)を一掃するには今がチャンスだ」。ミニバブルが弾けた米株式市場。新委員長あての捜査ファイルには、投資家の不満がギッシリ詰まっている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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