八月中旬、久しぶりに訪れたシンガポールは、危機感に満ちていた。世界的な経済減速のあおりで、七月の非石油部門の輸出は前年比二四・二%減。一九八〇年以来、最大の下落だそうだ。 中継貿易から、外資導入による輸出立国、最近はIT先進国へと、東南アジアの優等生として経済の高度化を図ってきたシンガポール。ショッピング街などは大混雑で、どこが不況かという感じだが、知人たちは「IT関係が軒並みだめ」と、口をそろえる。 しかし、本当に驚かされたのは、そうした目先の危機のみならず、長期的な危機への対応が盛んに語られていたことだ。
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