松下の「破壊と創造」は日本経済再生の試金石

執筆者:喜文康隆 2002年1月号
タグ: 日本

「企業家の機能を実際に果たしている者が企業家なのであるから、時には雇用契約により就任した『役員』がそれに該当する場合もありうる」(J. A. シュンペーター『企業家とは何か』)     * 日本の経営者の中で、いま誰よりも真剣に「企業」と「会社」の違いを哲学しているのは、恐らく松下電器産業の中村邦夫社長ではないだろうか。 平成デフレとよばれる閉塞状況のなかで、松下幸之助はブームになっている。裸一貫で創業し、昭和恐慌、第二次世界大戦、昭和四十年不況、オイルショックなど数々の危機を乗り切り、松下グループを日本最大の企業集団に育てあげた松下幸之助。しかし、当の幸之助が作り上げた企業集団の嫡子である松下電器産業が、創業以来最大の危機に直面しているのは何とも皮肉である。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top