オサマ・ビン・ラディンの資金ルートを果敢に“攻撃”しており、テロ組織による資金調達の阻止に成功をおさめつつある、というのは米財務省の言い分。実際、昨年末までの段階で、財務省が封鎖・凍結に成功したテロ組織との関与が疑われる資金は、計七千万ドルに及ぶ。 だが、これは決して自慢できる数字ではないようだ。オーストリアのリンツ大学教授、フリードリッヒ・シュナイダー氏(経済学)に言わせれば、いまだ微々たる額ということにさえなってしまう。 アングラ経済とマネーロンダリング問題の専門家である教授が、昨年十月下旬、バイエルン州プーラッハにあるドイツの諜報機関、BND(連邦情報局)本部で行なったレクチャーの内容が判明した。曰く、ビン・ラディン率いるアル・カエダだけでも、その資産は五十億ドル規模に達し、他に二十ほどあるイスラム原理主義テロ組織も合わせれば、年間予算総額は少なくとも一億五千万ドルは下らない――。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン