「国づくり」外交で指導力を発揮せよ

顕在化するユーラシア地政学、イスラムと中国の台頭など、アジアに巨大な変化が訪れている。アメリカが一国主義的傾向と戦略上の動揺を見せながらもイラク戦争に踏み切った後、日本はどのような課題を抱えることになるのか。 日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との正常化交渉が、拉致事件に加えて北朝鮮の核秘密開発が発覚してスタックしてしまった頃、外務省高官は思わずため息混じりに漏らしたものである。「日本にとって難しいのは北朝鮮だけじゃない、米国も同じくらい難しい」 日本の同盟国の米国を「ならず者国家」の北朝鮮と等置するような発言を、ほかならぬ外務省のトップ外交官が口にする。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
船橋洋一(ふなばしよういち) アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。近著に『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』(文藝春秋)、『自由主義の危機: 国際秩序と日本』(共著/東洋経済新報社)、『地経学とは何か』(文春新書)、『カウントダウン・メルトダウン』(第44回大宅賞受賞作/文春文庫)など著書多数。
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